テーマ:SS

Fate/gold knight 22

 眩しい光が薄らいだ時、そこはもう剣の世界じゃなくなっていた。世界の中に無理やり生み出された小さな世界は、セイバーの一撃でその構成ごと吹き飛ばされたんだろう。  周囲の風景は既に、元の城の玄関ホールに戻っている。元のとはいっても、固有結界が展開される前に派手に破壊されていたせいであちこちに瓦礫の山ができた凄惨な光景に変わってしまってい…
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Fate/gold knight 21

 アーチャーの詠唱が完成するまで、玄関ホールには何の変化も起きなかった。セイバーも弓ねえも、アーチャーのマスターである遠坂だって、あいつが何をしようとしているのか分からなかったはずだ。  だから、豪奢な玄関ホールであったはずの戦場が一瞬にして剣の丘へと変化した時も、それが何を意味するのかほんの一瞬だったけど分からなかったんじゃないだろ…
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Fate/gold knight interlude-4

「はぁあっ!」  見えない剣が、勢い良く振り下ろされる。だが、セイバーの渾身の一撃は、黒い両腕によってやすやすと受け止められた。敵にかすり傷も付けられないと見るや、即座にセイバーはその腕を足場に飛び離れる。着地した瞬間再び不可視の剣を構え、彼女はきりと歯を噛み締めた。 「甘いわね。単純に斬れると思ってるの?」  バーサーカーの背後…
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Fate/gold knight 20

 ──目が覚めた時、正直気分は最悪だった。  頭が泥を流し込まれたように重くて、もう眠くて仕方がない。  もう一度寝直そうかと思ったけれど、どうやらそんな余裕を持てる状態じゃないようだ。  空気が違う。  世界が違う。  ここはいつも寝ている俺の部屋でも、土蔵でもない。こんなに明るい光が覚醒直後の意識に飛び込んで来るなんて、う…
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Fate/gold knight 19

 皆揃って帰宅した頃には、冬の早い日没のせいか周囲はすっかり薄暗くなっていた。手分けして、大急ぎで夕食の準備に掛かる。今夜から桜がいないということだったから、食器の数なんかは気をつけなくちゃいけないな。まあ、作る量についてはセイバーと藤ねえで1人分くらいは誤差の範囲に入るのだけど。  そのセイバーは、早速タイヤキの消費にかかっていた。…
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Fate/gold knight 18

 ごくり、と息を飲む。その音すら、俺の耳には届かない。  周囲は雑踏に充ち満ちている。夕方の、ごく普通の商店街の、その一角。  ごく当たり前の、平凡な日常の一コマ。そのはずだ。 「ふふ、どうしたの? 死神にでも会ったような顔をして」  その日常の中にくっきりと浮かび上がるは、本来ここにはいないであろう白い少女。  イリヤスフィ…
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Fate/gold knight 17

 午前中の授業は何事もなく、大変平和のうちに終了した。  この場合の『何事も』とは、慎二も含めた敵対勢力からの目に見える襲撃を受けなかった、という意味だ。というより慎二はHRの始まる一、二分前になってやっと教室に姿を見せ、そのまましれっとした顔で自分の席に着いたから、会話のひとつも交わしちゃいない。  かといって、本当に何事も無かっ…
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Fate/gold knight 16

 夢を見ている。  いつも遊んでいる公園に突然出現した、傲慢でやんちゃな女の子。彼女と対立して、ある意味全面戦争みたいな喧嘩になったことがあった。その年代は男女とはいえ体力に極端な差があるわけでもなく、おまけに相手はやたらと頭の回転が速かったことを覚えている。対して俺は中央突破をしたがる悪い癖と、だけどどういう訳か相手の攻撃をかわすだ…
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Fate/gold knight 15

 きぃん、と金属同士がぶつかった音が鳴り響く。一瞬バランスを崩しかけ、青の騎士は自身の重心を低くすることで己が弾かれ、姿勢を崩されるのを防いだ。 「くっ」  セイバーが石段を踏みしめ、態勢を立て直そうとする。そこに降り注ぐのは、月の光にも似た刃。非常識と思える長さの日本刀は優男の手によって易々と振り回され、雨あられのごとくセイバーを…
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Fate/gold knight interlude-3

 頬に当たる風が、とびきり冷たく感じられる。  ボリューム豊かな金の髪がその風に煽られ、深い夜の中を一瞬のうちに駆け抜けた。  少女はおぼろげな意識のまま、人には到底出すことのできない速度で街を通り抜け、山を登っていく。本来は寝室で着用するのみの厚手のパジャマ姿だが、それをとがめる目撃者はこのところの事件──殺人事件然り、ガス中毒多…
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Fate/gold knight 14

 今日もマウント深山で買い物を済ませ、皆一緒に帰宅する。自宅の門扉が施錠されていないのに、開けようと手を掛けてから気がついた。まあ、俺たちの帰宅が遅くなったからだろう。藤ねえと桜はとうに来てるだろうからな。 「ただいまー」  玄関に滑り込み、声を掛けながら靴を脱ぐ。俺に続いてセイバー、弓ねえ、遠坂、アーチャーの順番でぞろぞろと入って…
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Fate/gold knight 13

 放課後。クラスメートはほとんどが既に教室を出て、残っているのは俺だけになった。一成にも先に出てもらい、ことさらゆっくりと帰り支度をすませる。 「……さて、行くか」  朝よりは軽くなったカバンを手にして立ち上がる。目を閉じて周囲の気配をたどるけれど、俺には何も感じることはできない。どこからか霊体化したアーチャーが見ていてくれるはずだ…
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Fate/gold knight 12

「それじゃあ、いただきます」 『いただきます』  美綴も無事……とは言い切れないけれど見つかったことでみんな一安心したようで、いつもの通り、俺の一言から朝食が始まった。本日の食事当番にもここだけは譲らせない、というか何というか。どうも、親父が死んでから五年間ですっかり習慣として染みついてしまったらしい。今更直す気はないけどな。さて、…
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Fate/gold knight 11

「たわけが。そなたが探しに行ったところで、どうなるものでもないわ」  まだ帰宅していない美綴を探しに行きたい、と提案した俺を弓ねえはそう一喝した。セイバー、アーチャー、遠坂も一様にうんうんと頷いている。四対一の多数決で俺の意見は却下、となってしまった。  まあ、姉貴の言いたいことも分かる。俺たちは今聖杯戦争の真っ最中であり、戦争の当…
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Fate/gold knight 10

「なるほど。それは大儀であった、士郎」  マウント深山で買い物を済ませての、家への帰り道。今日、学校でやったことを弓ねえとセイバーに手早く報告したら、姉上はうんとひとつ頷いてくれた。弓ねえは学校に通ったことはないけれど、穂群原学園には俺や藤ねえがいるってこともあって時々遊びにくるから、まあ馴染みの場所ではあるんだよな。前に制服借りて着…
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Fate/gold knight interlude-2

 商店街の中に、いくつか飲食店が存在する。その中の一つ……ランチタイムを迎えた標準的な喫茶店、その窓際の二人席に、微妙に場にはそぐわない二つの姿があった。  一つは淡い金の髪を後頭部でまとめた、清楚な印象の少女。  一つは豪奢な金の髪をゆったりと背中に流した、絢爛豪華な少女。  一方はセイバー、他方は衛宮弓美という名を持つ二人の少…
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Fate/gold knight 9

 家を出て遠坂と二人、並んで学校へ続く道をゆっくり歩いていく。同じ制服を着た学生の視線が少し気になるけれど、まあそれは遠坂凛の本質を知らないからだろう。そういう人間にとっては、遠坂はツンと澄ました優等生なんだから。実際はあかいあくまなのになあ……女ってすごいな。弓ねえは裏表なんてない――要するにいつでも女王陛下――から、ああいう切り替え…
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Fate/gold knight 8

 むかしむかし。  あるところに、おうさまがおさめるくにがありました。  おうさまは、じぶんのくにをおさめることをうんめいづけられており、おうさまじしんもそのうんめいをうけいれていました。  けれど、おうさまにはたりないものがありました。  ぎんいろのおうさまは、さいごまでそのたりないものをてにいれられませんでした。  き…
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Fate/gold knight 挿話 我が子への遺言

 熱い風が吹いている。  止められなかった……止めきれなかった企みの、その結果。  周囲は炎熱地獄と化して、普段と変わりない平和な生活を営むはずだった人たちの生命をごうごうと飲み込んでいく。  助けられない。  助けきれない。  助からない。  1を切り捨ててでも9を救う『正義の味方』。  今はその9すらも救えない…
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Fate/gold knight interlude-1

  Fate/gold knight interlude-1 双張りの弓  士郎を布団に放り込んだ後、弓美は廊下からサンダルをつっかけて庭へと出た。すたすたと広い庭の中央まで歩み出て、ふわりと背後の自宅を振り仰ぐ。雲に邪魔をされぬため月がほの明るく輝くそこに立ち、彼女は口を開いた。 「――アーチャー。おるのであろう?」 「…
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Fate/gold knight 7

 帰宅して買った洋服をしまうと、すっかり日が傾いていた。セイバーはいくつか買ってもらった服を、弓ねえのタンスにしまってもらうことにして一緒に彼女の部屋へと引っ込む。 「こんにちはー、じゃなくてただいまー」  帰りに買って来た食材を取り分けて夕食を作っている最中に、遠坂が荷物を大量に持ったアーチャーと一緒にやってきた。まるで自宅のよう…
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Fate/gold knight 6

 遠坂とアーチャーが一旦遠坂の家に戻ったあと、俺はキッチンに立った。結局昨夜は夕食食べ損ねたし、腹が減ってしょうがない。しかし朝から大騒ぎだったせいで、いつものようにちゃんとした朝食を作る時間がないようである。ま、今日は日曜日だし、トーストをメインでいいかな。後は冷蔵庫の中身と相談してでっち上げるか。 「えーと。ベーコンエッグにトマト…
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Fate/gold knight 5

 夢を見ている。  五年前の冬の夜。  空に浮かび上がった月を俺と弓ねえ、そして親父の三人が縁側に並んで見上げていた。  この頃、親父は家から出ることもほとんど無くなっていた。家の中でのんびりと、俺たちや藤ねえとの穏やかな生活をにこにこ笑いながら楽しんでいた。  今思えば、最後の時を自分の子供たちと共に過ごしたかったんだろう。そ…
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Fate/gold knight 4

 目の前に静かに佇む教会。夜更けに訪れたそこは、おそらく昼間に感じるであろう雰囲気とは全く違う、異質な気を漂わせていた。何というか……ここは実は教会などではなく、悪魔の住む伏魔殿だというような。遠坂に言わせてみればそのまんま、らしいのだが。 「衛宮くん。嘘をつけとは言わないけれど、できれば弓美さんのことは口にしない方がいいわ」  教…
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Fate/gold knight 3

 青っぽい月の光が、土蔵の入口から差し込んでくる。その中で、俺と弓ねえは突然出現した少女と対峙していた。俺たちを助けてくれたはずの少女は、今にも見えない武器を振りかざして襲ってきそうだ。びりびりと殺気が伝わってくる。 「……アーチャー? 何故貴様が、わたしのマスターと共にいるのだ? 貴様はあの時に、わたしが斬り伏せたはずだ!」  セ…
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Fate/gold knight 2

 弓道場の掃除を終えて外に出ると、すっかり真っ暗になっていた。冬は夜が長いけれど、さすがにもう二月なんだけどなぁ。これはついつい、いつもは見落としがちな隅々まで徹底的に磨き上げたせいなんだろうか。まぁ、綺麗になったからいいか。 「あちゃー……弓ねえに怒られるかな、こりゃ」  あまり遅くなるな、と俺をたしなめた姉貴の顔を思い浮かべて、…
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Fate/gold knight 1

 黒い太陽が、周囲を暗く照らしていた。  ひょっとしたら太陽じゃないのかもしれないそれは、何かをどろどろ、どろどろと流し出している。そのどろどろが触れた箇所から周囲がどんどん赤く染まって、大地を太陽と同じ黒に塗り潰していく。黒い太陽に照らされた世界は赤く、熱く燃えていて、その熱気がじわじわとにじり寄ってくる。  俺はずっと、雲か何か…
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嘘予告:Fate/gold knight

 大火事から救い出され、病院にいた俺を迎えに来たのはどこかやぼったい感じの人だった。 「君は孤児院に行くのと、今日会ったばかりのおじさんに引き取られるのとどっちがいいかな?」  そう尋ねられて、どっちでも一緒かなと思った俺は、自称おじさん……俺から見たら爺さんに見える、そいつのところに行くことにした。 「実はね、僕は魔法使いなんだ…
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聖杯戦士☆マジカルリンリンエピローグ その2

「そうですか。それであの……姉さん。先輩の……衛宮のおうちのことは……」  桜が恐る恐るわたしの顔を覗き込む。うん、一番気になっていたことはそれだろう。 「わたしがあいつのこと、報告書に書くと思う? 綺礼の報告書にも名前なんてなかったわ……だから、あいつが鞘を持ってたってことを知ってるのはわたしたちだけよ」 「……」  えーっと…
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聖杯戦士☆マジカルリンリンエピローグ その1

「ふぅ」  山道はさすがに堪えるわー、と思いながらわたしは上り坂をてくてくと上がっていく。両手にはコンビニ袋、中身はいわゆるスナック菓子の類。大人数で食べるならこういう奴が一番良いのよね。  さわ、と風がわたしの髪を揺らす。ふっふっふ、丁寧なヘアケアが幸いしてわたしの黒髪は枝毛もなく切れ毛もない。魔力を溜め込むために伸ばしてる、なん…
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